新人介護支援専門員(ケアマネジャー)心構え⑤

すべては利用者本人とご家族のために

利用者の味方になろう

最後の心得としてあなたにお伝えしたいのは、ケアマネはすべてにおいて”利用者とご家族のために”行動しなくてはいけないということです。

これがケアマネとしてもっとも必要不可欠な心構えだと思います。

介護保険の理念や制度の仕組みは大事です。しかし、時にはそれらが利用者にとって不利になることもあります。

介護保険課の窓口で、ケアマネが行政の担当と意見を戦わせたり、サービス事業所の相談員さんに、必死に受け入れをお願いしたりします。

病院から急に退院を迫られて、「退院後の落ち着き先を確保している最中だから、もうしばらく病院に置いてくれ」と医療相談員さんにお願いすることもあります。

ケアマネが神経をすり減らしてそんなことをやっているのは、すべて利用者本人と、そのご家族を守るためなのです。

制度や行政側の都合、病院の都合、サービス事業者の都合、それらが利用者の都合とうまく合うことばかりではありません。そんな時にケアマネは、利用者の味方にならなければなりません。

利用者をよりよい方向に導こう

しかしときには、利用者の考えや意向に沿うことが、結局、本人やご家族に不利益になるのではないか、という場面に出会うことがあります。

たとへば、本人がサービスを利用したがらないため、ご家族の介護負担が大きくなっていることはよくあります。傍目には、本人のわがままにご家族が振り回されてしまっていることしか見えないようなケースです。

そんな時に本人の性格や趣味や嗜好を探り、そこから本人の意向をよい方向へ導くこともケアマネの技術です。

利用者の意向を知ろう

もっとも重要なのはアセスメントです。利用者やご家族のことを知らなくては、利用者主体で動くにもどう動いたらいいのかわかりません。

アセスメントで利用者とご家族の意向をよく知って、そこから生まれる目標に向かって、ケアマネは動かなければなりません。

望みの実現に向かって努力しよう

利用者のなかには認知症がある人もいます。その程度によっては、意向を聞きたくても聞き出せないことがあります。そんなときにはご家族に利用者本人のことをいろいろ聞いて、本人が望むであろう生活とはどのようなものなのか、探っていかなければなりません。「認知症のために聞き取り不可」ということではいけません。

ケアマネをやっていればいろいろな問題にぶつかりますが、利用者の望む生活を少しでも実現するために、ケアマネは利用者側に立って、ともに進んでいかなければならないのです。