介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント⑤

「住宅改修が必要な理由書」の書き方

「住宅改修が必要な理由書」はケアマネ書くことになります。それについての注意などを紹介します。

「理由書」はケアマネが書く

住宅改修理由書の書き方に悩む介護支援専門員

利用者が住宅改修を必要とする時に、あなたがケアマネとしてやるべきことは、「改修すべき場所を確認して、あとは建築業者に依頼するだけ」といっても過言ではありません。

慣れた業者、つまり先に掲載していますように、受領委任払いの認可を受けている業者でしたら、業者に相談しているうちに、もっといい工事の仕方を勧められたりするなど、やはりプロの業者に任せた方が、いい仕事をしてもらえます。

必要書類は、ほとんどは業者側が準備するものです。見積書、図面、改修前後の写真、領収書、以上はどれも業者で準備してくれます。

ところが「住宅改修が必要な理由書」はケアマネが書かなければならない書類です。一応、制度上の決まりとしては「絶対ケアマネが書かなければならない」とはなっていないのですが、これは担当ケアマネが書くのがスジです。

なぜならこの書類の目的は、住宅改修によって利用者の生活がどう変わるのかを、行政に示すことだからです。

担当ケースの将来の見通しは、ケアマネとしてきちんと把握しておくべきことですから。

「理由書」の記載ポイント

ここでは、「住宅改修が必要な理由書」の書き方を説明します。どこの自治体でも、だいたい書式は同じですが自治体によっては、違う場合がありますので注意してください。

①「利用者」の欄は本人の状況について書きます。被保険者番号、年齢、生年月日等、介護保険証を見て間違いなく記入してください。

②その隣の「作成者」の欄は作成者、つまり、担当ケアマネについて書くところです。ただし、「資格」の欄はケアマネ以外の資格者について書くところなので、ケアマネが記入した場合は空欄で結構です。

この「資格」欄を書く資格者としては、福祉住環境コーディネーターなどが考えられますが、あなたが福祉住環境コーディネーター資格を持っていたとしても、まずは担当ケアマネであるほうが優先されるでしょう。

③その下の「保険者」の欄は、保険者が書くところなので、空欄で結構です。

④なかほどの〈総合的状況〉からが重要です。

最初に「利用者の身体状況」の欄がありますが、どこがどう悪くて、そのためにどのような生活への支障が出ているのかを、わかりやすく書いてください。

⑤次に「介護状況」について書きます。ご家族の生活状況、主に介護をしているは誰で、その人はどのような状況になっているのか、そして利用者本人が他に介護サービスを受けているのなら、どういった目的でどれだけサービスを受けているのかを記入します。

⑥最後に、「住宅改修により、利用者等は日常生活をどう変えたいか」の欄を記入します。今回の工事により、利用者本人やご家族はどういった問題を解決して、どのような生活を送りたいと希望しているのか、読んだ人が理解できるようにわかりやすく記入してください。

⑦「福祉用具の利用状況と住宅改修の想定」の欄は、現在使っている福祉用具にチェックを入れるとともに、住宅改修後の利用が予想される福祉用具にチェックを入れます。

 

 

介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント④

住宅改修には「受領委任払い」が望ましい

償還払いと受領委任払いについて

介護給付には2種類あるのはご存知と思いますが、簡単に説明いたします。

1⃣償還払い

住宅改修の場合だと、利用者がいったん、住宅改修にかかった費用を全額支払い、その領収証を役場等に提出すること、後日、9割分が利用者に支給されるといった給付の受け方です。

住宅改修費を建築業者に支払う例

 

2⃣受領委任払い

償還払いと逆で、利用者は住宅改修にかかった費用の1割だけを業者に支払い、残りの9割は介護保険から業者へ支給される方法です。

当然、受領委任払いの方が利用者に負担がかかりません。ですから、住宅改修を行うときは、受領委任払いでお願いしたいものです。

ただし、建築業者が住宅改修を行い、受領委任払いで給付を受けるには、その自治体から認可を得る必要があります。ですから、受領委任払いで住宅改修を頼める業者は、自治体のお墨付きを得ているしっかりした業者だといえますね。

以上のように、あなたが住宅改修をお願いする建築業者を探すなら、まず役場に行って受領委任払いの認可を得ている業者はどこか聞いて、その中から選ぶことをお勧めします。

工事の前後で書類を提出することになる

必要書類を知っておく

先に説明した通り、住宅改修に必要な書類はその自治体で異なりますが、少なくともこれはどこでも必要だろう、という種類をここで挙げてみたいと思います。

提出書類は工事前の事前申請と、工事後の支給申請があり、出す書類もちがいます。まずは工事前の事前申請に必要な書類をご紹介します。

☆★☆工事前の事前申請に必要な書類☆★☆

  1. 住宅改修が必要な理由書(ケアマネが作成)
  2. 工事の見積書(建築業者が作成)
  3. 工事個所の記載された図面(建築業者が作成)

この3つの書類はどの自治体でも必要です。申請の際に説明されて提出を求められますので、きちんとそろえてください。

上記の書類以外に、事前申請書を独自に作っている自治体もあります。また、申請の際に介護保険証の写しやケアマネの資格証明書の写しを求めるところもあります。

大切なのは、1.の住宅改修が必要な理由書です。書き方についてですが、一番入念にチェックされる書類ですので、しっかりと書いて提出しなくてはいけません。

これら書類を提出して、工事を認めます、と役場の許可が下りたら業者に連絡して工事を開始してもらってください。

介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント③

住宅改修の手続きの流れを知っておく

保険の上限額や工事の対象は説明しておく

あなたのところに住宅改修の依頼があった場合を想定して、どのように手続きが進んでいくのかをみていきましょう。

まずは住宅改修について、利用者にしっかりと説明しましょう。先の項で説明しましたが、上限額はいくらなのか、支給の対象となる工事はどういったものなのか等、説明しておく必要があります。

お金が絡むことですから説明不足や勘違いなどがあれば、後でクレームにつながりかねません。自治体のパンフレットなどがあれば渡して、説明不足がないようにしておいてください。

以前、住宅改修をしているか確認する

今回が初めての住宅改修なのか、それとも以前に行なったことがあるのかについて確認します。他のケアマネから引き継ぎが不十分だったために、以前、家の裏口に手すりを付けたことがあることを知らなかった、などということ起こりかねませんので確認しておきましょう。

アパートや借家は家主の承諾を得る

住宅改修を行う家が賃貸の場合には、家主に承諾を得てください。

アパートや賃貸では勝手に工事できないので、家主の承諾が必要です。家主の承諾の取り方については、自治体によって口頭でかまわないところもあれば、承諾書を取るところもあります。しかし、ほとんどの自治体で建物の持ち主の承諾書を準備していますので、住人が住宅改修を希望している旨を説明して、了解が得られたらサインをもらってください。

住宅改修の手順

1⃣改修を希望する場所を確認する。

まず、利用者本人とご家族と相談しながら、住宅改修を希望する場所を確認します。この作業は後で、「住宅改修が必要な理由書」を記載するときに必要な情報になります。いわば、住宅改修のアセスメントとなる作業ですので、十分に聞き取り確認をして下さい。当然、聞き取り内容は、きちんと記録しておきましょう。

介護保険住宅改修の流れ

2⃣住宅改修を依頼する業者を決める

住宅改修を行う場所を確認したら、工事を依頼する建築業者を決めます。なかには知り合いの大工さんや建築士に頼みたい、という人もいるかもしれませんが、頼みたい業者がいない場合、あなたが建築業者を探すことになります。その際に注意すべき点がありますので後述します。

3⃣業者と改修する場所を確認する

お願いする業者が決まったら、その業者ともう一度、利用者の家を訪問して、改修したい場所を業者の人に確認してもらってください。

この際に改修する場所の写真を撮ります。後で説明する必要書類の1つとして、住宅改修前後の写真が必要なので、この写真は撮った日の日付がわかるようにして下さい。

画用紙でもいいので日付を書き、改修する場所に置いて写真を撮りますが、実際の住宅改修の現場では、これは建築業者がやるのが普通でケアマネが写真を撮ることはまずありません。

4⃣必要書類を準備する

改修する場所と工事を依頼する業者が決まったら、工事の事前申請を自治体に提出します。ただし、住宅改修に関する手続きに関しては、その自治体によって、提出する書類がちがっていて、多い自治体もあれば少ないところもあるので、事前に確認してください。

業者に出してもらう見積書などの必要書類をそろえて自治体に提出し、住宅改修を行うことの承諾をもらいます。業者には、この申請が通るまで工事の開始を待ってもうらってください。

5⃣工事開始

申請が通ったらその旨を業者に連絡して、工事を開始してもらってください。工事が終わったら、工事後の写真を業者に撮ってもらいます。

6⃣改修費を請求する

工事が終わったら、その工事前後の写真や、業者からの請求書の写しなどの、改修費の請求に必要な書類をそろえて自治体に提出し、住宅改修費の請求をします。

無事に請求の審査が通れば住宅改修は終了です。

介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント②

住宅改修でどんなことができるのか

住宅改修の種類

介護保険の支給の対象になる、住宅改修の種類は以下のとおりです。なお、手すりやスロープは福祉用具貸与にもあります。それとは別なのでご注意ください。

1⃣手すりの取り付け

廊下やトイレ、玄関などに手すりを取り付けるものです。利用者の転倒防止や屋内または屋外での移動の補助に有効です。

手すりの種類

手すりには、縦手すりと横手すりがありますので、「住宅改修が必要な理由書」を書く際に、手すりを縦にするか、横にするかもきちんと考える必要があります。

2⃣段差の解消

玄関や浴室、その他屋内の段差を解消するものです。要するに、バリアフリーですね。

手すりと同様、利用者の転倒防止や屋内または屋外での移動の補助、もしくは車いすでの移動をしやすくするために有効です。

段差にとまどう車いす利用者

敷居を低くしたり、玄関にスロープを設置したり、浴室の床をかさ上げする工事などがあります。

3⃣床、通路面の材料変更

転倒防止や車いすでの移動を容易にすることに役立ちます。

廊下や床が滑りやすければ、滑りにくい材料にしたり、滑り止めを設置します。屋内で車いすを使用する場合は、畳の床をフローリングにすることなどもできます。

4⃣扉の取り替え

歩行が不安定な人にとって開き戸は使いづらいので、引き戸に変えることができます。転倒防止とともに、自力での扉の開け閉めが簡単になります。

引き戸やアコーデイオンカーテンに取り替えたり、ドアノブを大きくして握りやすくしたり、重い扉に戸車を付けることができます。

5⃣便器の取り替え

洋式便器

和式便器を洋式便器に取り替えます。和式便器では排泄できない人でも、様式便器にすることで排泄動作の自立に役立ちます。

6⃣その他

手すりを取り付ける際の壁の補強、他にも扉の取り替えに伴う柱などの改修工事や、浴室やトイレの改修に伴う下水管の改修など、住宅改修によっては対象の範囲が広がることがあります。

主な介護保険の支給対象になる住宅改修を紹介しましたが、こまかい部分はケアマネジャーが利用者の状況をよく把握することです。今までの事例などを踏まえたアドバイスも必要です。しっかり進めましょう。

介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント①

住宅改修は、チャンスがないと経験を積むことが難しい仕事、といえます。大きな手続きの流れや注意点について説明しますので、実際に住宅改修に携わった際には、ここに書かれた内容に従って、段取りを立ててください。

悩む介護支援専門員

住宅改修のポイント

  1. 介護度に関わらず20万円を上限として、9割が支給される。
  2. 20万円以内なら、何回でも利用できる。
  3. あくまでもリフオーム(改修)が対象であり、新設の工事では使えない。
  4. 転居した場合、もう一度使える。
  5. 持ち家でなくとも、住宅改修は可能である。
  6. 本人もしくは同居家族が住宅改修を行う場合は、材料費のみが対象となる。
  7. 介護度が3段階上がれば、これまでの住宅改修費はリセットされる。

住宅改修ポイントの内容

1、介護度に関わらず20万円を上限として、9割が支給される。

改修費用として10万円かかったら、9割の支給ですから9万円、20万円かかったら、18万円が介護保険から支給されます。この金額は介護度などで変わることなく、一律20万円が上限です。これ以上は支給されないため、20万円以上の部分については自己負担となります。

2、20万円以内なら、何回でも利用できる。

この20万円の上限以内なら、何回かに分けて使うことも可能です。今回10万円分使って、残りの10万円分はまた別の機会に使いたい。もしくは5万円ずつ4回に分けて使いたい、というやり方も可能なわけです。

3、あくまでもリフオーム(改修)が対象であり、新設の工事では使えない。

住宅改修ですから、リフォームが対象です。ですから、新築の家の場合は認められません。現在、新築中の家にスロープをつけたいから住宅改修を認めてほしい、などというやり方認められません。

いま住んでいる家に手すりを付けたり、玄関の段差を解消したり、和式便器を様式にしたりと、とにかくリフォームであることが条件です。

また、既存の部分の拡張は認められます。例えば、廊下を広げてそこに手すりを付ける。または、トイレを広くして和式便器を洋式に替えるなどの場合は認められます。

スロープと手すりを利用する高齢者

4、転居した場合、もう一度使える。

住宅改修は現在居住している住宅が対象です。

ですから、以前住んでいた家で住宅改修を行って、20万円使いきっていた、もしくは半分だけ使っていたという場合でも、転居したら新たにまた20万円の住宅改修が認められます。

ただし、これが認められるのは1回のみですので、ご注意ください。

5、持ち家でなくとも、住宅改修は可能である。

繰り返しますが、対象は現在居住している住宅です。

ですから、賃貸やアパートでも可能なのですが、当然建物の持ち主に許可を得られた場合です。自治体によっては承諾書の提出を求めるところがあります。

6、本人もしくは同居家族が住宅改修を行う場合は、材料費のみが対象となる。

もし、本人や同居している息子さんなどが大工さんで、その人が自宅を住宅改修したとします。この場合は材料費のみが支給対象となります。工賃分の請求書を出しても、それは支給の対象とは認められません。

7、介護度が3段階上がれば、これまでの住宅改修費はリセットされる。

要介護度が3段階重くなったら、引っ越しの場合と同様に一度、20万円分を使い切った後でも、使った分はゼロにリセットされます。これを介護業界の人たちは「3段階リセット」などと呼んでいます。

リセットされれば、また新たに20万円分の住宅改修費の支給が認められるのです。ちなみに介護度については、着工時点での介護度が基準になるので、申請の時期に認定の更新などが控えていた場合、新しい認定が出るのを持ってから住宅改修の事前申請するのをお勧めします。

 

「要支援」や「要介護」はどんな状態のことか?

介護度の目安について

要支援や要介護とはどういった状態なのか、介護度別にみた利用者の状態の目安を挙げてみましょう。

もちろん、身体的にはしっかりしていても、認知症が重いという人もいれば、逆に身体的には生活全般に介助を要しても、認知症はないという人もいらっしゃいます。

つまるところ、全体を総合的にみて、利用者はどの程度の支援や介護がないと生活できないのか、という点に着目して介護度は決まるのです。

介護保険認定申請書

◇介護度と状態の目安及び受けられるサービス◇

介護度 利用者の状態の目安 受けられるサービス
非該当 日常生活において、支援や介護は必要ない状態。 受けられる介護サービスありません。支援や介護がなくとも生活できる、と判断された状態です。
要支援1 歩行能力や筋力にやや低下がみられ、移動などに見守りが必要。認知症は軽度の物忘れ程度。 「予防サービス」の対象です。まだ介護は必要ありませんが、社会的な支援がないと生活できないと判断された状態です。

状態の維持や改善を目標とした、リハビリなどを主体として支援を受けます。

 

要支援2 移動や立ち上がりの際に、手すりなどの支えが必要。

認知症としては、軽いもの忘れや理解力の低下がみられ、日常生活の見守りが必要。

要介護1 歩行は不安定で、移動の際は付き添いや支えが必要。

認知症による物忘れや理解力の低下があり、日常生活において見守りや、介護者からの指示を要する。

「介護サービス」の対象です。

日常生活において介助を要する人たちが、生活の維持、改善のために受けるサービスです。

介護サービスには入所系、通所系、訪問系の3つがあり、さらにそれぞれの目的やニーズがあります。

介護サービスは利用者本人の状態に応じて、必要なサービスを必要なだけ提供されなければなりません。その調査や計画作成、連絡調整をするのがケアマネジャーです。

本人やご家族が望む生活の実現を目標に、介護サービスが提供されます。

要介護2 移動は常に介助を要し、食事や排泄に部分的な見守りや介護上の指示、または介助を要する。

認知症においては、理解力の低下や問題行動がときおりみられる。

要介護3 移動は車いす等の介助を要し、食事や排泄の介助も要する。

認知症は理解力の低下や、問題行動がみられる。

要介護4 食事、排泄、移動などに常に介助が必要な状態。

認知症による理解力の著しい低下や問題行動がたくさんある。

要介護5 日常生活全般において介助が必要で、身体的にはかなり重篤な状態。

昼夜を問わず、認知症による理解力の著しい低下や問題行動が常にみられ、生活のためには常時介護が必要な状態。

介護度の判定は、主治医の意見書や介護認定訪問調査員の調査資料などに基づき自治体の介護認定審査会で決められます。

第1号被保険者と第2号被保険者のちがいについて

介護保険法での被保険者の位置づけ

第二章 被保険者

(被保険者)

第九条 次の各号のいずれかに該当する者は、市町村又は特別区(以下単に「市町村」という。)が行う介護保険の被保険者とする。

一 市町村の区域内に住所を有する六十五歳以上の者(以下「第一号被保険者」という。)

二 市町村の区域内に住所を有する四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者(以下「第二号被保険者」という。)

(資格取得の時期)

第十条 前条の規定による当該市町村が行う介護保険の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日から、その資格を取得する。

一 当該市町村の区域内に住所を有する医療保険加入者が四十歳に達したとき。

二 四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者又は六十五歳以上の者が当該市町村の区域内に住所を有するに至ったとき。

三 当該市町村の区域内に住所を有する四十歳以上六十五歳未満の者が医療保険加入者となったとき。

四 当該市町村の区域内に住所を有する者(医療保険加入者を除く。)が六十五歳に達したとき。

第1号被保険者と第2号被保険者のちがい

【第1号被保険者】市町村に住所を有する、満65歳以上の者

高齢夫婦

 

【第2号被保険者】市町村に住所を有する、満40歳以上65歳未満の医療保険加入者40歳以上の主婦

このように介護保険法第二章第九条で第1号被保険者と第2号被保険者が定義づけられています。なお、介護認定申請ができる第2号被保険者は、国で定めた特定疾病の患者である必要があります。

特定疾病一覧
がん(がん末期)                       脊柱管狭窄症

関節リウマチ                         早老症(ウェルナー症候群)

筋萎縮性側索硬化症                      多系統萎縮症

後縦靭帯骨化症                        糖尿病性神経障害

骨折を伴う骨粗鬆症                      糖尿病性腎症

進行性核上性麻痺                       糖尿病性網膜症

大脳皮質基底核変性症                     脳血管疾患

初老期における認知症                     慢性閉塞肺疾患

パーキンソン病                        両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う、変形性

(パーキンソン病関連疾患)                  間接症

脊髄小脳変形症

認定の申請を代行するときの注意点

要介護度介護認定の申請代行をするには、介護保険制度に基づいて行ことになっています。適切な申請代行を行ないましょう。

有効期限が切れる前に「認定の更新」を行う。

認定には有効期限があります。有効期限が切れると、また認定の申請をしないと介護保険が利用できないので、有効期限が切れる前に再度、認定調査の申請を行います。

これを「認定の更新」といいます。認定の更新は、この後に説明する「要支援・要介護認定申請書」の提出によって行います。

 

更新の申請は、利用者本人でもできますが、担当ケアマネが代行申請するのが普通です。ただし、ケアマネはきちんと契約を結ばないと利用者の個人情報を扱えないので、認定の更新申請は代行できても、まだ認定を受けていない人の新規の認定申請の代行はできないということになります。

しかし、利用者もしくはご家族が何らかの事情(心身に障害があり、外に出るのが難しいなど)で申請の代行を希望した場合、ケアマネが新規の認定の申請をすることもやむなし、となるケースもないとは言えません。

利用者やご家族がケアマネを、申請の代行もしくは代理を依頼するものとして適切であるということを認めた場合、法的な「使者」として新規の認定の申請をケアマネが行うことも可能、という意見もネットで見受けられますが、これはまだ介護保険制度できちんと認められたわけではありません。

まだ介護認定を受けていない人、もしくは以前に認定を受けたことがあるが、有効期間がが切れている人から担当ケアマネになってほしいとの依頼を受けたら、役場の介護保険担当窓口に行って、認定の申請を出してもらってきちんと介護度がついてから、改めて依頼にきてもらうようにお願いするのが適切な対応といえるでしょう。

 

要支援・要介護認定の流れ

自治体に認定の申請を行う

まず、介護保険を利用して、介護保険サービスを利用できるまでの手続きを見ていきます。既にご存知のことも多いことでしょうが、復習のつもりでご覧ください。

介護支援専門員

介護保険を利用してサービスを受けるには、要支援・要介護認定を受けなければなりません。そこで、まず利用者が住んでいる自治体へ書類を提出して「要支援・要介護認定申請」を行います。

これは被保険者(利用者)が保険者(自治体)に、「私は介護を必要とする者である」ということを認めてもらい、介護保険からの保険給付を受けるための申請です。自治体では要支援・要介護認定の申請を受けると、以下の流れで認定を下します。

  1. 「要支援・要介護認定申請」の受理
  2. 「認定調査員」による「認定調査」「認定調査票」の作成
  3. 「主治医」への「主治医意見書」の依頼
  4. 上記提出物による「1次判定」
  5. 「介護認定審査会」「2次判定」
  6. 判定結果が記載された「介護保険証」の送付

上記のような手続きによって介護保険証が手元に届いたら、まずそこに書かれた「介護度」と「有効期間」を確認してください。

介護保険証と一緒に、利用者が住んでいる自治体周辺の居宅介護支援事業所の一覧が同封されていて、その中から担当ケアマネを選ぶのが一般的です。

介護認定申請手続きの詳細

1⃣養介護・要支援認定を受けようとする被保険者(つまり利用者)は保険者(住んでいる自治体)の介護保険担当窓口へ「要介護・要支援認定申請書」を提出することで、介護認定の申請を行います。

2⃣申請を受けた自治体は、被保険者のところへ「認定調査員」を派遣し、「認定調査」を行います。

3⃣自治体は認定申請書に書かれた、利用者のかかりつけ医に「主治医意見書」の作成を依頼します。

4⃣認定調査結果と主治医意見書と、国の定めた基準によって介護にかかる時間が判断され、「1次判定」が下されます。

5⃣「介護認定審査会」が開かれ、1次判定の結果及び認定調査の結果と主治医意見書を元に「2次判定」が下され、そこで介護度や認定有効期間が決められます。

6⃣判定結果は、「介護保険証」に記載され、本人の住所に郵送されます。

認定の結果には、日常生活において、見守りや支援を必要とする「要支援認定」と、常に介護を必要とする「要介護認定」の2つがあります。

要支援は2段階要介護は5段階に分かれていることはご存知と思います。しかし、本人が生活するうえで支援や介護が必要ないと判断されれば「非該当」と認定され、介護保険は使えません。

ケアマネの1カ月

ケアマネの1カ月の過ごし方

ケアマネは、1か月毎にやらなければならない仕事があります。先の利用票と提供票が1か月毎の予定で組まれることから、そのあたりのイメージが理解できると思います。なので、1か月刻みでスケジュールが組まれるわけです。

これからケアマネ業務に就くという人は特に、自分が実際にケアマネになったときにどのように過ごすのか、イメージしながらみてください。

 

実績報告が月初めに届く

新しい1ヵ月が始まったとします。今日は今月の最初の平日です。月初めには、あなたが利用者へのサービス提供をお願いしているサービス事業所から、サービスの利用実績が届きます。

ケアマネは毎月、月末近くに各サービス事業所に、提供票を配ります。この提供票は先に説明した通り、「利用者へ、サービスをこの内容で提供してください」とお願いするための書類です。

サービス事業所はこの提供票をもらうことで、仕事の依頼がきたことを知るわけです。ですから、この提供票の内容に従って、通所やヘルパーさん、サービス事業所のみなさんは、利用者を通所に連れて行ったり、ヘルパーを派遣したりします。

そのようにしっかり仕事をした結果を提供票に書き込んだり、その事業所独自の書式を使ったりして、1か月のサービスの利用状況をケアマネに報告するのが、実績報告です。

ディサービス利用者

請求業務は10日までに行う

先月の実績報告をもらったあなたは、それに従って請求業務を行います。請求業務とは、国民健康保険団体連合会へ介護報酬の請求を行うことです。

これら介護保険制度に従って報酬を請求したり、保険給付がきちんと行なわれるようにする一連の業務を総称して、給付管理といいます。

請求業務には締め切りがあり、毎月10日までに国民健康保険団体連合会に請求します。また、10日が土日などの休日であれば、その前の平日(9日か8日)に請求しなければなりません

訪問ができるのは請求業務が終わってから

請求業務が無事に終わり、10日を過ぎるとケアマネさんは、本格的な訪問ができるようになります。もちろん、場合によっては請求業務の合間を縫って訪問することもあります。

ケアマネは、いろいろな場所に顔を出します。利用者の自宅でモニタリングを行い、行政の介護保険担当窓口でいろいろな手続きをして、病院の医療連携室では新規の相談を受け、地域包括支援センターでは予防介護の人の相談を受けるなど、やることもたくさんあります。

利用者やサービス事業所などど、マメに連絡調整・確認を行なって、ケアマネは自分で行動予定を立てて動かなければなりません。

ムダのない、合理的な段取りを立てないと、場合によっては利用者やサービス事業所の仕事に、悪影響や不都合を与えてしまうことになりかねません。ケアマネはしっかりしたスケジュール管理が大事です。

利用者にハンコをもらった提供票を配布

月の中頃になったら、利用者の自宅でモニタリングを行い、その際に利用票にハンコをもらいます。これで、利用者もしくはそのご家族が、来月のサービス内容を了承した、ということになります。

ハンコをもらったら、その内容に従って、指定したサービス事業所へサービスの提供をお願いします。「提供票の内容に従ってお仕事をして下さい」というわけです。

提供票には、来月の予定が書かれていますから、間違いなく当月中に各事業所に訪問して渡さなければなりません。ですから、ケアマネは月末近くになったら、サービス事業所を回って、提供票を配らなければなりません。

ただし、せっかくサービス事業に行って相談員さんに会うのですから、提供票を渡しただけで帰ってくるのはもったいない話です。この機会に、サービス事業所の相談員さんに、あなたが担当している利用者がサービスを使っている様子を聞きましょう。

モニタリングの時には聞かれなかった、実際のサービス利用の際の様子が確認できます。こういった情報は大切なものですし、情報収集はケアマネにとって欠かしてはならない仕事です。

以上が大まかなケアマネの1か月の流れです。大事なのはスケジュールをしっかり立てて業務を行うことです。