説明の仕方、話し方のコツ②

ケアマネ業務のいろいろな場面を想定した話し方の例を紹介します。今後の業務の中で参考としてください。

ケアマネのいろいろな業務の場面での例

 

★例:新規の利用者にアセスメントのアポを電話でとるとき★

「もしもし、A様のお宅でしょうか? 私、B居宅介護支援事業所のCと申します」 (指名)

「このたびはD地域包括支援センターのE様からご紹介があり、お電話させていただきました」(確認)

「今後、A様の担当ケアマネを務めさせていただきたいと思っていますので、まず現在のご様子などうかがいたいと思います。一度ご自宅へお邪魔させていただいて、お話などお聞かせ願えますでしょうか?」(説明)

「では日程の調整をしたいと思いますので、ご都合のよい日時などございましたら、お聞かせ願えますでしょうか?」(同じくここも説明になります)

「承知いたしました。では、〇月〇日の〇〇時にお邪魔しますので、よろしくお願いいたします」(本題)

はりきるケアマネ

必要ならば、「説明」などのパーツが2つになることもあります。また、実際にこのようなアポをとる場面では、最後に訪問の日時をあえて口に出して確認することが大事です。

★例:サービス担当者会議において、ケアプランへの同意を得るとき★

「それではAディサービスのBさんにお尋ねします」 (指名)

「ここまで、利用者のC様についてのケアプランの案をご覧いただきました」(確認)

「Bさんの立場から見て、ケアプランの内容にご意見などございますでしょうか?」(説明)

「では、この内容で進めていきたいと思います」(本題)

「みなさんの意見をうかがいましたが、ケアプランについての修正点はありませんでした」(説明)

「ではC様、こちらのケアプランに同意のサインと印鑑をお願いいたします」(本題)

ケアプランの説明

「説明」と「本題」を繰り返すことで、参加者全員の意見を集めます。

「確認」と「説明」の部分には、「指名」も含めて意見を求めています。

この二つの例は自分から話を持っていく場面を例に紹介しました。

説明の仕方、話し方のコツ①

ケアマネは利用者がそれまで全くなじみのなかった、介護保険制度などの説明しなくてはいけません。コミュニケーション能力や説明能力が必須のスキルとなります。説明する時の順番や、話し方の注意点などについて説明します。

会話のテンプレートを上手に使う

話し方には「型」があります。「型」とはつまり「テンプレート」です。何事も形が決まっていると簡単です。これから話す内容を型に当てはめて話すと、相手に伝わりやすいというわけです。話しかけるケアマネ
書店には、「話し方」をテーマにした本がいくつも並んでいますが、それらを手に取ってみると、こういった「話の型」と呼ばれるものがよくみられます。

当サイトでも「会話のテンプレート」と呼ぶものをつくっていますので、ここで紹介します。「会話のテンプレート」は、あなたが誰かに何かを説明しなければいけないときに、その説明すべき内容をパーツに当てはめるものです。その4つのパーツの名前と簡単な説明は以下のとおりです。

★会話のテンプレートの”4つのパーツ”★

 指名

 ・相手に自分の話へ意識をもってもらう

 確認

・相手の自分への警戒心を解く

 説明

 ・相手にいま話ている内容について説明する

 本題

 ・相手に最終的な目的を伝える

契約などの難しい説明をする際は、上記の型に話したい内容を当てはめるとよいでしょう。

以下で「会話のテンプレート」を使った話し方の例をいくつか挙げて、説明します。まず、仮にあなたがディサービスの相談員だった場合を想定して、見学しにいらっしゃった人に、自己紹介する場面の例です。

★会話のテンプレートの例1(自己紹介するとき)★

「〇〇さん、初めまして」指名

 

このたびは当〇〇デイサービスのご見学にいらしていただき、ありがとうございます確認

 

私は、当デイサービスの相談員を務めさせていただいております、〇〇と申します説明

 

「本日は、私より当デイサービスのご案内をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」本題

ごく一般的な挨拶のようですが、自分が相手に伝えたいことを1つひとつ意識して話しているかいないかで、相手への伝わりやすさが変わります。

話しかけるケアマネ

話しているうちに、話の内容が「本題」から外れないように注意してください。あれもこれもと、ムダな話をしないように気をつけましょう。

とにかく最初に「指名」した相手に対し、「確認」「説明」という道を通って、最後の「本題」というゴールにたどり着くことを忘れないでください。

クレーム対応 3

必ず報告して再発防止策を検討する

記録し、関係者すべてに報告する

クレームを受け付けたら、次にすべての関係者に報告します。

クレームを受けた方の話では、もっとも辛かったのは上司に報告するときでした。しかし、「辛いから報告を誰にもしない」などというのはただのクレーム隠しです。報告しなかったら、誰かに相談もできません。辛いことではありますが、報告は必ずしなくてはいけません。

クレームはきちんと記録する

クレームの原因を明確にする

クレームの内容を詳細に記録し、それを関係者すべてに報告してから、関係者すべてに相談して対応を決めます。

その際、初めにはっきりさせるべきことは、なぜ、このようなになったのか、その原因です。クレームがおきた際は、以下の内容について協議しなくてはいけません。

★クレーム対応の協議のポイント★

  • クレームが起きた原因となった問題
  • その問題が起きた原因
  • その問題の再発防止策(もっとも重要)

再発防止策を立てて、お詫びする

再発防止策を立てよう

新人ケアマネ

クレームへの対応やお詫びの仕方というものは、単に頭を下げればいいとか、菓子折りを持っていくというようなことではありません。クレームに対するお詫びとして出すべきものは、「再発防止策」です。

原因をしっかり分析して、再発防止策を立ててください。しっかりした再発防止策を立て、「これからこのようにいたしますので、二度と同じ不快な思いをさせません」と申し上げるのが、正しいお詫びの仕方です。

★クレーム対応のまとめ★

  • クレームを受け付けた際はまず、相手の話を漏らさず聞く
  • 緊張したら、相手の言っていることを繰り返す。相手に「話を聞いていますと」という態度をみせる
  • 苦情の内容はすべて、漏らさず記録する
  • 対応が決まるまで、安易な答えを出さない。わからなかったら、「確認し、相談させていただいて、はっきりさせたうえでご報告します」と相手に伝える
  • 関係者すべてと協議して、再発防止策を立てる
  • 再発防止策が決まったら相手に報告し、お詫びする

クレーム対応 2

クレーム電話がかかってきたら

ケアマネのクレーム対応その2です。自分のところへ介護保険サービスの利用者様やその家族様から苦情の電話がかかってきたら、パニックになってしまうのはある程度仕方のないことです。まずは落ち着いて、このやり方を思い出してください。

相手の話した言葉を繰り返す

クレームを聞くケアマネ

相手の言っていることを繰り返し、「〇〇〇ということですね」「〇〇〇ということでしたか、わかりました。では、お話の内容を調べさせていただいて、事情などを確認したうえでお答えさせていただきたいと思います」と、このように対応するのです。

なぜかと言うと、それで得られる効果がちゃんとあるからです。次にその効果について説明します。

相手は言いたいこと、聞いてほしいことがあるから

苦情を申し立てる人は、自分の話をあなたがちゃんと聞いているかを気にします。ですからこちら側は、相手の話に真摯に耳を傾けている態度を示すことがとても大切になります。

こちら側が相手の話を繰り返すと、相手に「自分の話をよく聞いている」と感じてもらえます。

 

★クレーム受付時の聞き取りポイント★

  • 相手の名前と連絡先
  • 申し立てはどのような流れだったのか?(電話で申し立てられた? 直接その場で? 第三者を経由して?)
  • 申し立ての内容(どういった事情だったのか、経緯やその問題の背景など)

相手がもし、あなたの担当ケースでなく連絡先が分からない人だったら、相手の住所、氏名、そして必ず連絡先を確認すること。

傾聴の態度を忘れないようにする

クレームへの最悪の対応はどのようなものでしょう?

まず一つは、真面目に話を聞いていない、と思われるような対応です

相手は訴えたいことがあるのですから、その訴えを受け止める態度をみせることが大切です。

そうしないと相手は苦情を受け付けようとしていない、と受け取りますし、苦情やクレームの内容に不明な部分があったりすれば、その後の対応の検討のしようがありません。

最初にクレームを受けたときは、とにかく相手の話が終わるまで、ひたすら傾聴の態度で対応しなくてはならないのです。

言い逃れや言い訳はしない

クレームに対してやってはいけない対応の二つ目は、相手の話から逃げることです。

誰しもクレーム受けたときは、早くその場を切り抜けたくなるのが本音でしょう。しかし対応の仕方が適当だったり、その場しのぎの答えを出したり、「よくわかりません」「無理です」などと相手の申立てを拒絶すれば、「誠意の感じられない対応をされた」と、相手は態度をますます硬化させます。

大切なのは誠実な態度をみせることなのです。言い訳や言い逃れはしてはいけません。

話を聞くケアマネ

クレームを受けた最初の段階では、こちらは絶対に余計なことをしゃべってはいけません。まずは聞くことに専念してください。

令和4年度 第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施につて

今年も10月9日(日)に第25回介護支援専門員実務研修受講試験が実施されます。受験者の皆様が全員合格されることを願ってます。

ケアマネ試験通信講座を活用して一発合格を目指そう!より

クレーム対応 1

押さえておくべきクレームの対応のポイント

仕事をする中でクレームは受けたくないのが本音ですが、どうしてもクレームは発生するものです。ケアマネとしてもクレームは必ずあると思っていてください。ここでは、ケアマネとしてのクレーム対応について紹介しますので参考にして下さい。

悩む新人ケアマネ

まず、クレームへの対応の仕方の注意を2つ紹介します。いざクレームがきた時にすぐに思い出せるよう、頭に入れておいてください。

クレーム対応は初動の速さが大事

1つ目は、「ミスしたときは、初動が大事」です。

対応の遅れは事態を悪化させます。何故なら苦情を申し立てた人にとっては、対応の遅れは不誠実にしか思えないからです。

クレームを受ければ、誰でも心が押しつぶされそうになるでしょう。ましてや経験の浅い新人ケアマネさんがクレームを受けたりしたら、自身を失って何をどうしたらいいかわからなくなってしまうのも、無理はないかもしれません。

しかし悩んだり落ち込んだりしている暇はありません。速やかに対応しなくては事態が悪化してしまいます。

★★★クレーム対応のポイント1★★★

クレームを受けたら、速やかに対応しなくてはならないことを肝に銘じておいてください。

新人ケアマネ

内容を詳細に確認して、記録すること

クレームへの対応の2つ目の注意点は、「クレームを受け付けたら、その内容を詳細に聞き取って記録に残すこと」です。

クレームを受けたときはとにかく自分の心を落ち着かせて、苦情の内容を子細漏らさず、しっかり聞き取りしてください。対応を考えるのはその次です。まず内容をすべて把握したうえでないと対応は考えられません。

そして聞き取ったクレームの内容は詳細に記録してください。クレームの中には軽微なものもあり、その場で謝罪すれば済むものもあるかもしれません。しかし、たとえ軽微なものであっても、記録は必ず残さなければなりません。

なぜなら、クレームへの対応でもっとも必要なのは、再発防止策を立てることだからです。その場で処理できた終わり、ではいけないのです。

どこの事業所にも、苦情に関する記録を残しているはずです。「苦情受付簿」や、「苦情報告書」などというものが必ず備えられているはずですから、記録をしっかり取って下さい。

★★★クレーム対応のポイント2★★★

クレームを受け付けたら、その内容を詳細に聞き取って記録に残しておきましょう。

新人ケアマネさんがクレームの電話を取ったりしたら、驚いたりショックを受けたりしてしまい、落ち着いて苦情の内容を聞いたりするのは難しいかもしれません。

クレームの電話対応

そんなときはどうしたらいいのか、実はちょっとしたコツがあります。クレーム対応その2で紹介します。

利用者が入院したときの対応 3

「退院の予定」を教えてもらえるように伝えておく

退院後のプラン作成のために利用者が入院したら、病院とのやり取りも必要になります。

入院の報告を受けたら病院の相談員さんに、「本日入院した〇〇様の担当ケアマネですが、もし退院となりましたら早めに連絡を頂けますでしょうか」と挨拶の電話を入れおくと良いでしょう

そして、「退院の時期がわかったら、早めに連絡いただけませんか」とお願いもしておきましょう。

ディサービスの利用

もし、「明日退院です」などど、急に言われても、ケアマネとしては、サービスを再開するのに時間が足りません。

長期間の入院をすれば、利用者の状態が入院前より低下していることは十分に考えられます。それでも、在宅に帰ると言われれば、「新たにアセスメントをしてプランを作成して、新たなサービスを入れるためにサービス担当者会議を開催」という段取りを踏まえなければなりません。

ケアマネの立場としては、退院の知らせは1日も早くほしいところです。そこで、ご家族や病院側に、退院の予定はできるだけ早めに伝えてほしい、と念を押しておく必要があるのです。

病院の指示が出たらアセスメントを行う。

退院の指示が出たらまずはアセスメントです。様子を見に行って、その後のサービスをどうするか検討してください。

ご存知のとおり、お年寄りが入院すればどうしても体力が落ちます。長期間入院したのであれば、これまで歩いていたのに退院時には車椅子が必要になっていた、などということはよくあることです。

ケアマネをしていてもっとも辛いのが、このように突然の病気や転倒などの事故で、利用者のADLが落ちてしまった時です。ご家族にしてみれば、これからの生活が不安になります。

ここでケアマネはご家族の支えにならなければなりません。ご家族を「大丈夫です。何でも相談してください。」と励ましてあげてほしいと思います。

利用者の良き相談員

病院からの退院は急がせられたりすることもあり、時間にゆとりがないものです。こんな時にケアマネは病院へ電話をかけて、在宅復帰の準備ができるまで、退院の日時を遅らせてもれえるようお願いして、退院後の体制をしっかり整えましょう。

利用者が入院したときの対応 2

サービス事業所に提供票の差し替えが必要か確認する

サービス事業者への確認事項として、利用者が入院した際にすることがあります。それはサービス事業所に確認票の差し替えが必要かどうか、を確認することです。

「ケアマネジメントの流れ」でも説明しましたが、ケアマネは毎月月末になると、翌月のサービス利用内容を提供票で渡しサービス事業者にお願いしています。これは毎月行うケアマネのお仕事です。

もし月の途中で利用者が入院すると、すでに提供票でお願いしていたサービスはもう使わなくなり、提出していた提供票とは、状況が合わなくなってしまいます。

そこで、サービス事業者から、「提供票の差し替えが欲しい」と頼まれる場合があるのです。つまり、当月の残りのサービス予定が入っていない、現状に合った提供票がほしいということになります。

しかし、差し替えを出すか出さないかについては、入院時の利用者の容態やサービス事業所によって判断が異なる場合があります。「差し替えはいりません。実績で出します。」と言われる場合もあります。

悩む介護支援専門員

「実績で出します」の意味

この「実績で出します。」という言い回しはよく使われるのですが、どういう意味なのか説明します。

利用者が入院したいときは、いつ退院するかがわからない場合が多いものです。もしかしたら、早い段階で、今月中に退院になるかもしれないし、来月以降まで数カ月入院となるのかはわかりません。

そうなると、提供票をつくりなおすにも、いつ退院してサービス利用が再開されるかわからないのですから、書きようがありません。

ですから、サービス事業所にすでに渡している提供票に、利用できなかった日は「×」にして、ありのままの結果を実績報告してもらえば、ケアマネとしては提供票の差し替えを出す手間がかかりません。

以上のように、ありのままの実績で実績報告することを、一般的に「実績で出します」といっているのです。

もちろん、入院した利用者の容態によっては、明らかに今月中の退院はムリで、今月残りのサービスは絶対に使わないだろうと判断される場合があります。

このような状況なら入院の報告をした時点で、「残りの月のサービス利用はナシにして、新しい提供票を出してくれ」と頼まれる場合が出てきます。

ただし、提供票を差し替えれば、利用者からハンコをもらっている利用票と内容が合わなくなるので、これも差し替えなくてはいけなくなります。しかし、入院でバタバタしているご家族に、「利用票にハンコがいるから訪問させてほしい」とお願いするのは心苦しいことです。そこで、利用票の差し替えについては月をまたいだとしても、退院して落ち着いた頃でも仕方がないでしょう。

こういった事情も考えると、提供票の差し替えについてはケアマネ側から、「実績でお願いできますか?」と申し出てもよいと思います。

利用者が入院したときの対応 1

新人ケアマネの場合、突発的な出来事に驚いたり、正しい対応がとっさにできないことがあります。ここでは、利用者が突然、入院したときの対応と、特に新人ケアマネならば起こりやすい、ミスに対応するクレームへの正しい対応について紹介します。

入院の連絡を受けたら、情報を集めてサービスは止める

「退院の時期がわかったら教えてほしい」と頼んでおく

まず、あなたの担当している利用者が入院した場合の対応の仕方について、説明したいと思います。ある日あなたのもとに、「担当している利用者が入院した」との連絡が入ったとします。入院の報告を受けたときにケアマネが最初にすべきことは、まずは詳しい情報収集です。以下の点を確認しましょう。

入院した高齢者

入院の報告を受けた際の確認点

  1. 入院に至った理由について(ケガの状況や病名など)
  2. 入院している病院はどこなのか?
  3. 今後(入院期間等の見込)について、何らかの説明はあったか?

上記の確認事項はもちろん、どれも重要ですが、ケアマネとしては3⃣の入院期間が一番知りたい情報です。ただし確認する際は、「お医者様から何日間の入院となるか、お話がありましたか?」と聞く程度で留めてください。

もし、入院期間がわからなくても、「お医者様に確認してください」などと念を押してはいけません。ただでさえ身内の入院で大変な思いをしている家族に、余計な心労をかけることになります。ですから、報告を受けた時点では、「ではもしも退院などのお話がありましたら、お知らせ願います。」と伝えるだけに留めてほしいと思います。

サービスを止める旨の連絡をする

この次に絶対に忘れてはいけないことがあります。利用者のご家族に、現在使っているサービスを止める旨を伝えてください。そして、「今使っている、〇〇ディサービスさんには私から連絡をしておきます」と電話をした後、すぐに使っているサービス事業所へ利用者が入院したことを連絡してください。この連絡を忘れると、サービス事業所の皆さんに迷惑をかけてしまいます。ケアマネは連絡調整の仕事であることを忘れないでください。連絡の抜けは信用に大きく影響します。

また、福祉用具をレンタルしていたら、レンタルを忘れずに止めてください。そうしておかなければ、本人は入院していて福祉用具を使っていないのに、利用料金が1日ずつ発生してしまいます。利用者が入院すると、これまで進めていた物事はすべてストップします。

車椅子

たとえば、もともと利用者の容態が悪く、在宅では生活が困難になってきて特別養護老人ホームなどの、入所サービスを利用しようとしていて入所日が明白だったとしても延期となり、それまでの準備はいったん白紙になりますが、仕方のないことです。

いずれにせよ、利用者が入院したら、まず状況の確認とサービス事業所へ報告です。明日、サービスの利用を予定していることもあるでしょうから、この連絡はとにかく早急に行うことです。

介護保険サービス導入の際によくある問題

利用者本人とご家族のニーズが合わないときは

介護保険利用者本人様とご家族のニーズが合わないということはよくあります。たとえば、ご家族は「家にいたら仕事にも行けないから、通所サービスを利用して通って欲しい。」と思っていても、介護保険利用者本人様は、「家にいたい。通所とか、知らないところに行きたくない。」こんなときはどうしたらいいのでしょうか?

悩む介護支援専門員

 

利用者の希望は、最も大切なニーズですから、もちろん尊重すべきです。ですが、利用者が弱気になっていたり、自暴自棄になっているためにサービスを拒否しているようなときもあります。上記の例もそのような状況です。

こんな時ケアマネは、サービスを入れた場合や継続してケアプランに挙がる課題に取り組んだ場合のメリットを強調して説明すべきでしょう。具体的には、ケアプランの長期目標に利用者が望む状態を書いたり、短期目標は簡単にできることを書いて、提案してみるのです。

ケアマネは、しっかりアセスメントをして、利用者やご家族のニーズを把握したうえで、メリットを最大限に表現した提案をすべきでしょう。

使いたいサービスをすでに利用者側が決めてしまっているとき

これもよくある話ですが、アセスメントの時点で利用者やご家族が使いたいサービスが決まっているケースがあります。

「ウチの隣のおばちゃんが、あそこのデイサービスに行っていて、すごく楽しいといっているから自分も行ってみたい。」などという相談があるわけです。しかも、介護保険の認定もこれからそのために受ける、などという話すらあります。

このままでは生活できないから介護サービスを利用するのではなく、ただ介護サービスを使いたいから認定を受けるというのは、話の順番が逆ですよね。こういう場合は往々にして、介護認定を受けたとしても対象外か、せいぜい要支援1が付くかつかないという状況だったりします。

利用者に頼まれたから希望どおりのサービスを入れる、というのでは”御用聞きケアマネ”と呼ばれてしまいます。ケアマネとしてどんな対応をすべきでしょうか?

まず、介護サービスというのはどういうものなのかというところから、説明しなくてはいけないでしょう。ただし、「・・・だからダメです」で終わらせてしまうのもいかがなものか、と思います。

いずれしても、まずは課題分析です。課題分析はケアマネが利用者のニーズをしっかり把握して、ケアプラン作成につなげるためのものですが、ケアマネだけではなく、利用者やご家族にも、現在置かれている状況を見えやすくするという狙いもあるのです。課題分析で利用者に今の状況を正しく認識してもらって、正しいサービスを提案すべきでしょう。

法人の都合を押しつけられる

これは、絶対に避けたい話ですが、法人の都合をケアマネが押しつけられことが実際にあるようです。法人の上層部から、「ウチのサービスをもっとたくさん組め」と強要されるのです。

小規模多機能ですと、自分の事業所のサービスを使うことはよくあるのですが、「もっと回数を増やせ」「限度額いっぱい使わせろ」と上司から強要されるという話も聞かれます。

当然、いくら強要されたからといって、利用者の都合をないがしろしてはいけません。法人の儲けのためにサービスを組むなどありえない話です。もし、そんなことを強要されたら、「利用者と話し合ったうえで、このプランで同意を得ているのだから、こちらの都合で回数を増やすことなどできません」とはっきり断るべきでしょう。あくまでも、介護サービスは利用者のためのサービスで、法人のためのサービスではないことを強く認識しておきましょう。

介護保険制度の知っておくべき住宅改修6つのポイント⑥

工事の開始と工事終了後の支給の申請

無事に「住宅改修が必要な理由書」が書きあがったら、先に説明した工事の見積書と工事個所が記された図面といっしょに市役所や役場へ提出して、住宅改修の申請を行います。

申請は自治体に書類を提出して行う

住宅改修の申請が通るまでどれだけかかるのかは、自治体によってちがいますが、申請の際に確認しておきましょう。

無事に申請が通ったとの連絡が入ったら、その旨を業者に連絡して工事を開始してもらいます。工事をお願いする際には、工事が終了したら必ずケアマネである自分のもとに、工事の終了の連絡をしてもらえるように、念のために伝えておきましょう。工事終了後に「住宅改修費の支給申請」をしなくてはならないからです。

工事が完了したらモニタリングを行う

工事終了の連絡をもらったら、利用者宅を訪問して工事の本人の生活ぶりや、手すりなどの使い勝手を確認してください。

注意すべきは、単に廊下を安全に歩けるようになった、またはトイレが使いやすくなった、という一面的な見方をするのではなく、住宅改修によって本人の生活がどう変わったかを見なくてはならない点です。「住宅改修が必要な理由書」に記載した、最初の期待通りの生活が送れているか、しっかりモニタリングしてください。

利用者本人の生活が変われば当然、ケアプランの内容も変わる可能性が高いでしょう。いずれにせよ、工事が終わった後の生活が大事なのですから、工事が終わればそれでいい、というわけではありません。

住宅改修後に利用する高齢者

住宅改修費の支給申請

工事が終わったら、「住宅改修費の支給申請」を行います。

支給申請の際に必要な書類として、自治体で必要と思われるものを紹介します。添付書類等については、各自治体で求められるものが違う場合がありますので、自治体の指示に従ってください。

☆住宅改修費の支給申請書☆

1⃣「支払口座を伝える書類」

償還払いの場合、利用者名義の口座、受領委任払いの場合、建築業者名義の口座

2⃣「領収書」

償還払いの場合、全額支払った後で利用者宛に出されたもの、受領委任払いの場合、利用者が1割負担を支払った、利用者宛のもの

3⃣「工事内訳書」

工事の内容が書かれたもの。廊下に手すりを付けた場合、「廊下に横手する取り付け」などと、内容がわかるように書かれているもの

4⃣「改修の前後の日付入り写真」

工事の前後でどこをどう工事したのかがわかる写真です。写真を撮った日付がわかるように、撮影するときは日付を書いた画用紙などが工事をした箇所と一緒に写るようにしてください。

5⃣「図面」

工事の内容がわかる図面です。

6⃣「建物の持ち主の承諾書」

これは先にお話ししました。賃貸の家であれば、建物の持ち主の承諾書が必要ですが、絶対に必要かどうかは自治体によって異なります。

最期に

以上の種類は、いずれも工事を請け負った業者にお願いして、ケアマネが自治体に届ける書類です。その後自治体で審査を行います。

審査が通れば、連絡があり、償還払いの場合は利用者へ、受領委任払いの場合は業者へ、住宅改修費がそれぞれの指定口座に振り込まれれば、手続きは終了です。

以上で住宅改修についての説明は終わりです。